「小野寺にしろ紫吹にしろ、無意識に男をオトすのやめてよ」
「ふふ、私なんかに誰も落ちませんよ。
それより、この相関図を変えちゃいません?」
「変える?」
小野寺さんが残したペンを使って、二重線を引いたり、書き加えたりする。「どうですか?」と完成した物を見せると、咲人さんは盛大に吹き出した。
「ボスが義父、飛鷹が義弟、ハハ。とんだはちゃめちゃ家族だな」
「もちろん咲人さんは、私の旦那様です!」
フフと笑うと、咲人さんが椅子ごとクルリと私を回す。回転椅子でもないのに、その動き。急なアンバランスに、思わず悲鳴が出る。
「び、ビックリした……。
危ないじゃないですか、咲人さん!」
「……いいの?」
「ん?」
私の頬に手を当て、オデコ同士をコツンとつける。すると咲人さんの心臓の音が、私の耳にまで届いた。
「本当に、俺がミミをもらっていいの?」
「むしろお嫁さんにしてくれないと困ります」
「ふふ、たぶん色々大変だと思うけど」



