――と。 咲人さんに想いを寄せる私の声が、まさかの筒抜けだったとは知らず。 「咲人さんねぇ」 拘束された男は、私ののろけを聞いて薄ら笑う。慣れた手つきで、どこから出したか分からないタバコを口の端で噛んだ。 「あの子、めっちゃ打たれ強いじゃん。骨おれそうだな」 そう言ってニヒルな笑みを浮かべた男は。自身の顔にのっぺりついた血に、今さら気づく。そして何の躊躇もナシに、 「おーい、風呂に入りてぇんだけど」 と。 私が咲人さんの匂いを堪能する至福の時間に、終止符を打たせた。