朝目が覚めると、
洋ちゃんが晴香ちゃんに説教されながら
帰っていく所だった。

洋ちゃん達を見送った後
2階から柊斗が降りて来ていた。
リビングに転がっている浩介を見つけて驚いていた。

ーー今は親子で話ができそうにないわね
還暦を過ぎてリビングで雑魚寝するなんて次の日のことを考えてなさ過ぎると呆れてもいた。

「柊斗くん、朝ごはんを食べに行こっか」
「え」
昨日のことで浩介に怒られちゃうと
どうしようとオロオロしている柊斗。

「柊斗くんとご飯食べに行ってくるからね!」
浩介に向かって大きな声で言うと
浩介はその声が頭に響いたようで弱々しく
「お願い…します」と手を挙げた。

「よし、いいって。いくよいくよー!」
佳乃子は躊躇する柊斗の背中を押しながら
車で木の家のモーニングを食べに出掛けた。

「お父さん、疲れてるから
疲れが取れるまで、寝かせてあげよう。」
「そうですね」
まるで怒られることを
待つ囚人のように
柊斗は助手席で俯いていた。

「大丈夫よ」
佳乃子の声で柊斗は顔を上げた。
「柊斗くんちゃんと謝るでしょ?
それにお父さんは柊斗の話を
聞きたいと思ってるよ。きっと」

「うん。」
佳乃子の話を聞いて
怖がらずに向き合う気持ちに切り替えたようで
柊斗はしっかりした表情で返事をした。