あの後は知っての通り
男達の宴会が開かれた。

楓は父親の狼狽える姿に頭を抱え
子どもとして観てられないと
宴会が始まる前に自宅に戻った。

佳乃子は宴会に呆れて
早々に寝室に消えて行った。

「佳乃子は冷たいなぁ。
浩介くん、今までのことを
聞かせてくれよ」

山城がそう話すと
スコットが車からワインを出してきた。

「今日、友達と一緒に飲むために
買ってたワインです。」
そう言って浩介を揶揄いながら
三人は酒を交わした。

山城はワインを覗き込んで
「だけどよ、友達と温泉旅行に行くかい?」
わざとスコットを尋問するような目で聞いた。

スコットはワイングラスを傾けながら
「今日はね。
佳乃子を元気づけようとしたんです。
私と隣のチヅと。」
そう言ってリビングの奥を見た。

浩介も山城も
スコットが見つめる先を見た。
そこには白い上等そうな布に入った
小さな何かが二つあった。

山城が「何だ?」と言う前に
浩介はガタっと大きな音を立てて
酔いの回った足で慌てながら側まで
行ったので大きな音がでた。
そして優しく撫でた。

「そうか…。すずが…」
涙声で話す浩介の声に山城も驚いた。
「すずちゃん?」

「佳乃子はだいぶ落ち込んでね。
あれから4ヶ月たって少しは元気になったけどね。
私もチヅも心配になって
この温泉旅行計画したんだ。」