容赦なく酔い潰れたもの達にも
朝はやってくる。
それが良いのか悪いのかわからないが
今日ほど暖かい朝日だったと思う日は無い。

山城は車の助手席に座っている。
晴香に迎えに来てもらい、
自分の車は佳乃子の家に置き
今は帰宅の途についている。

頭を劈く二日酔いに
車酔いもプラスして気分は最悪だ。
助手席でこの揺れだ。
20年前にもう絶対娘の助手席には乗らないと
誓ったことを揺れる頭で思い出した。
後何分この地獄が続くんだと思ったところで
晴香のお小言が耳を突き抜け脳天に刺さる

「いい年して呑んで帰れないって…
ほんとに!もう!」

キリキリと高い晴香の声が
山城の頭を抉った。
追い打ちをかけるように孫の一香も
後部座席からお小言を言う。
「じいじ、今日お仕事入ってるのよ?」

「そうだった。今日来客あったな」
山城は頭を抑えて
二日酔いの薬の置き場所を思い出していた。

晴香は7年前に再婚し
相手との間に産まれた子どもは
晴香の小さい頃にそっくり。
生き写しのように山城を責めて
世話をしてくれる。
もう一人の男孫の清香は法学部に通い
山城の法律事務所でバイトをしている。

「清香にぃに迷惑かけたら駄目よー」
山城の頭をワシワシと触りながら
一香は笑っている。

「ほんとに」と晴香のお小言は
まだまだ並びそうだ。

山城は昨日のことを
思い出して鼻を啜った。