浩介は皺皺の両手で涙を拭い
山城の言葉に応えるように頷いた。

浩介のまだ溢れる涙に
佳乃子はそっとティッシュボックスを渡した。

ティッシュで涙を拭いた後の
浩介の顔は穏やかな顔になっていた。


心配した佳乃子が口を開いた。
「今、仙台にはお姉さんが
住んでるんじゃなかった?
育児を手伝ってもらってるの?」

浩介の15才歳の離れた姉は仙台に嫁いでいた。
流石に後期高齢者に子守りを頼めない。

「柊斗が小さい頃どうしても病育も
駄目だった時にお願いした時くらいかな」
「1人で育児するのも限界があるよ。
柊斗くんの為だと思って
もっと周りの人に頼らないと!」

佳乃子が話しているうちに
少し怒ったように言うので
浩介は小さくなって頷いた。

「子育て経験者がいるしな」
と、山城は笑顔で佳乃子を見た。

「いや、佳乃…あっ。」
浩介は慌てて、言い直して
「波野さんにはそんな迷惑は掛けられない。」

言い直しを気にする事なく佳乃子は話す。
「確かに、ここは遠いけどさ…
そういう遠慮がちなこととかしてたら
いつか浩介が潰れちゃう!」