「楓、ありがとな。
柊斗のリュックとかどこかな?
すぐ出るよ」
安心したせいか浩介は
さっきよりだいぶ疲れた顔で言う。

「柊斗、疲れてよく寝てるし
起こすのは可哀想だよ。
あのさ。お父さん、下にお母さんいるし
ちょっと今日のこと話せない?
ちゃんと話したほうがいいと思うんだ。」

「柊斗くんが何故来たのかもわかってないからな」
山城も楓に加勢した。

浩介は「そうだな」
佳乃子に謝罪しなくちゃいけないなと
疲れた体を奮い立たせて階段を降りた。


階段を降りるとリビングのドアが開いた。
山城と浩介達が驚いていると
スコットが笑顔で待ち受けていた。
「こんばんは。スコットです。どうぞ」

山城は笑顔でスコットと握手を交わした。
浩介は電話口の男の声を思い出していた。
ーーまさか外国人だったとは

スコットは山城の次に
浩介の前に手を出した。
「初めまして。坂倉浩介です。」

スコットの握手は笑顔の割に力強かった。
懐かしいリビングへと足を進めた。

中では佳乃子が待っていた。
「ひさしぶり。」
変わらない柔らかい笑顔の佳乃子につられ
浩介も「久しぶり」と言葉を交わした。