2階にある梓のベットに
柊斗を寝かせた。
小学四年生の柊斗を
2階まで上げるのは流石に骨が折れた。
明日の筋肉痛は免れなさそうだ。

楓はベットの淵に座り
両手をグンと上伸ばして体を揺らした。
柊斗をベットまで抱っこして
寝かせた自分を労っていた。

ふと柊斗の顔を覗くと
頬に無数の涙の道が出来ていた。

さっきは辛い時間だった。
柊斗がここまで来た理由がわかった。
子供ながらに家族を引き裂いた原因が
自分にあると母に謝りに来たと言うことか。
大人の残酷な身勝手が子供を苦しめている。

どうにかこの幼い子の苦しみを取り除いてほしい。
楓の悲壮な顔からため息が出た。

父はこの事を知らないのだろう。
そう思うともっと深い溜息が出た。

ふと、楓は思い出した。
10年前、山城法律事務所で
父と出会したときに聞いた言葉を。

「3人の子供へのデメリット」
「検査します」

あのワードは「DNA検査」の話だったのか。

当時、何の確証も無く
山城がDNA検査を勧める訳がない。
だとすれば、山城は何か知っているかもしれない
楓は部屋を出ると山城に連絡をした。