モイラ --天使が犯した罪と罰--




「……!?」



目が覚めると、白いシーツで覆われたベッドの上で横になっていた。


冷や汗で少しシーツが湿っており、寝起きだからか、未だ心臓がバクバクと大きな音を立てている。



「夢、だったの?」



先程までのふたつの声は消え去って、しんと静まった病室がそこにあった。


私はそっとベッドから足を下ろし、おずおずと薄手のカーテンを開ける。



「もう大丈夫なの?」



カーテンの先にいたのは、怪訝そうな表情をしたクロイであった。


窓の外を覗くともう夜になっており、月明かりが足元を照らすほどだった。



「大丈夫です。
すみません、もう夜なのに」


「いいよ、俺も仕事してたし。
ちょっと焦ったけどね」



申し訳なさそうに微笑むクロイに、チクリと胸が痛む。


この人は意地悪だけど優しいのだ。


私が雨に打たれた時に傘を差し出してきた時から、ずっとそうだ。



「少し気分が悪かった?
気づいてあげられなくてごめん」



違うと頭を横に振ると、また「本当に?」と疑うように怪訝な表情になる。


だから私は彼を安心させるために少し笑ってみせた。