モイラ --天使が犯した罪と罰--




「ユマ…!」


「……っ、あ…わたし」



ぐにゃりと視界が歪んで、自律神経を刺激したのか嘔気が増し、私はその場で崩れ落ちる。


鼻からの呼吸は難しく、口から勢いよく吸って、吸い続けて、肩の力を入れて吐ききることしかできなかった。


呼吸と心臓の鼓動が私の全てを支配していて、指先がぴくりとも動かない。



「…はぁ、っ……はぁ」



まるでノイズが掛かったようにざらつく視界に、慌てふためいているクロイの表情が浮かぶ。


「ごめんなさい」とそう言いたいのに、唇が痺れて言うことを聞かない。


恐らく過換気のせいだろう。


しかし自分の力ではどうすることもできず、クロイの袖にしがみつく。



「そのまま掴まっていて。
ゆっくり深呼吸をしよう、吸って吐いて……」



クロイの言う通り、吸って吐いてを繰り返す。


吸って。


吐いて。


吸って。


吐いて。





吸って……。