モイラ --天使が犯した罪と罰--




翌日、私は部屋に戻ったアリアを見送って、リビングのソファに座る。


震える指でテレビのリモコンを掴むと、私は電源を付けて、ぐっと唇を噛み締めた。



『──ニュクスを騒がせたカルト集団、【ヘメラ】はなぜ炎と共に消えたのか?
創始者が愛した青年・【アイテル】の正体とは?
独占ドキュメンタリー・“【ヘメラ】と天使”は本日夜21時に放送──……!』



テレビからは昨日見たコマーシャルの内容が、そっくりそのまま流れている。


アイテルの姿はコマーシャルの中でも、綺麗で、儚くて、恐ろしい。


こんな人を私はこの手で殺してしまったのか。


21時になった。


番組が始まる。


今なら電源を消して、全てを忘れて、眠りにつくことができる。


けれど、私は知りたい。


私とアイテルの間にあった、確かな関係を。


傷ついてもいいから。



『星暦3135年、ヘメラの創始者と双子は出会いました。双子の名前は“ヘメラ”と“アイテル”。
妹である“ヘメラ”は、後に集団の名称となりました』