玉響の花霞 弍

それでも21時を過ぎても音ひとつ
鳴らないスマホとの睨めっこに
正直疲れてしまい、意を決して
筒井さんに電話をかけた。


えっ？


コール音がなることもなく、
耳に届いた電波の届かない場所か
電源が入っていないというメッセージに
今度は亮さんに掛けてみることにした。



「‥‥嘘‥‥‥亮さんまで？」


同じメッセージが再び
流れてしまい、何故だか不安になる。


2人とも連絡しない人達じゃないはず。
電波が届かない場所に偶然いるだけだ
と思いたい‥‥


30分あけてからもう一度コール
したけど変わらずで不安からか
胸がどんどん苦しくなる


5時間も経ってるのに、メールもない
状況に何故だか落ち着かなくて、
迎えに行っていない蓮見さんに
思い切って電話をかけてみた。


お願い‥‥‥繋がって‥‥‥
筒井さんと一緒にいるって言って
安心させて欲しい‥‥


プルルルル‥‥プルルルル‥プッ


『もしもし、霞ちゃん？』


「‥‥蓮見さん‥‥つ‥筒井さんと
　連絡が取れなくて‥‥亮さんとも
　繋がらなくて‥‥お2人と一緒
　ですか？」


休みの日に、くだらない用事で
上司に連絡するなんて情けない‥‥


でも‥‥筒井さんが約束を破ることは
どうしても考えられないのだ‥。


ちょっと食事が長引いてるとか、
仕事のトラブルとか何か理由が
分かれば、今日会えなくても
どうってことない‥‥だから‥‥



『今‥家にいる？』


「えっ？‥‥はい、家にいます。」


『分かった。出かけれる準備して
　待ってて。15分くらいで着くと
　思うから。』


「えっ？は、蓮見さん？蓮見さん！？」


通話が切れてしまったけど、
迎えに来るということは、
筒井さんのところに連れて行って
貰えるかもしれないと思い、
急いで準備をした。


もう今日は遅いから、
筒井さんの顔が見れたら嬉しいから、
お顔を見たらすぐに帰ろう‥‥。


落ち込みかけていた気分も少しだけ
良くなる頃に、蓮見さんが下に着いたと
連絡をくれたので、鍵をかけて
急いで向かった。



「こんばんは。」


『悪いね呼び出して。
　それじゃ行こうか。』


「あ、あの‥お二人は今何処に
　いるんですか？」