玉響の花霞    弍

筒井さんとお出かけした日の夜は、
亮さんと蓮見さんがやっぱり夕方から
尋ねてきて久しぶりに楽しそうに
笑い合う3人を沢山見ることができた。


帰りに買っていったデリバリーを
始め、私の作る簡単なお摘み、
亮さんが作ってくれたカレーなど
もあっという間に完食になるほどで、
お酒も進んでほろ酔いな気分で
2人は帰って行った。



「楽しかったですね‥‥。
 私、筒井さんがお2人と過ごされてる
 のを見れるのが1番好きです。」


『そうか?毎度のことだからこれが
 普通だけどな。』


お風呂に入った後、寝室で
一緒に寝転んだまま涼んでいた。


肩肘をつきこちらを見ていた筒井さんが
空いていた手を伸ばしてくると
私の頭を撫でてくれ、それだけで
気持ち良くて眠ってしまいそうになる



『翔吾とのこと気になるか?』


ドクン


閉じかけていた瞳を開けると、
筒井さんと視線がぶつかった


『眠いならまた今度話すから』


「き、聞きたいです‥‥筒井さんが
 話してくれることなら
 どんなことでも聞きたいです‥」


『お前‥‥』


頬に触れていた手をそっと握ると、
私の手を指で摩り始めた。


自分から聞くのはとても勇気がいる。


話してくれるということは、
その中に信頼関係がないと話せない。


だからこそ向き合ってくれる人には
ちゃんと向き合いたかった。
‥‥大切な人だからこそ。


『眠くなったら寝ろ。いいな?』


小さく頷くと、枕を並べてそこに
筒井さんも寝そべると、私を
優しく抱きしめるように腕の中に
入れてくれた


『学生の頃の話しを覚えてるか?』


「はい、別荘で聞きました‥」


『‥‥‥俺の前から居なくなった
 彼女は、翔吾の婚約者の妹なんだ。』


えっ?
あの女性の‥‥妹‥‥?


脳裏にジュニアと優香里さんと呼ばれていたあの綺麗な女性が思い浮かぶと
少しだけあの時の恐怖が蘇る


『彼女が〇〇製菓の娘という事は勿論
 在学中も知らなかった。
 俺と付き合うことを彼女の親に
 反対されてることも知らなかった。
 偶々何かのパーティーで彼女は翔吾と
 知り合って、それから色々俺のこと
 を相談していたらしい‥‥。
 相談に乗るうちに翔吾も彼女のことを
 好きになったんだ。彼女の親がさ、
 俺と分かれさせる為に結婚相手を
 見つけて、お見合いをさせる事を
 知った翔吾は、そんな彼女を幸せに
 する為に一緒に逃げたんだ‥‥。』


嘘‥‥‥‥

ジュニアが筒井さんの彼女と?