玉響の花霞    弍

片思い‥‥‥

その辛さも、頑張ろうとする期間も
経験したからこそ、杉浦君を心の
中だけでも応援してあげたい

勿論菖蒲が幸せなのが1番だから、
彼の見方をするわけではないけど、
きっと杉浦君は自分で努力できる子だって思えた‥‥。


自分の事で落ち込んでいたけど、
杉浦君の話を聞いて、私も筒井さんへの
想いが深まった気がする‥‥。



お昼をほとんど食べ損ねてるから、
こんな日は美味しいもの作って
食べようかな。



『なぁ、俺に触られたら涙が出るのに、
 他の人と話すのは大丈夫なんだ?』


えっ?

 
背後から聞こえてきた声に振り返ると、
蓮見さんとジュニアがそこに
立っていて驚いた。


『霞ちゃん大丈夫だった?
 変なことされたらすぐに言ってね。
 翔吾は馴れ馴れしいとこあるから。』



蓮見さんがそれを言うと、
ものすごく説得力に欠けてる気がする‥

初対面でかなり距離感近くて、
すぐにちゃん付けで呼んでましたよ?



『井崎さん、悪かった‥‥。
 嫌な思いさせたな。』


綺麗な顔が申し訳なさそうに
目尻が下がると、私に向かって
頭を下げてきた。


「あ、あの!やめてください!
 もう気にしてませんから!!」


よりによってジュニアに頭を
下げさせるなんて、誰かに見られたら
それこそ怖い


『ほんとか?』


「は、はい!ほんとです!
 ただ‥ああいうことはもうしないで
 貰えると嬉しいです。」


今度は顔がパァっと明るくなり
コロコロと表情がよく変わる人だなと
見上げてしまった



『よし、じゃあ霞ちゃん行こっか。』


「えっ!?行くって何処にですか?」


『何処って‥‥翔吾と亮と飲みに
 行くからおいでよ。』


「いえいえ、そんなところに私は
 入れませんから。久しぶりだと
 思いますのでどうぞ3人で楽しんで
 来てくださ‥」

『はい、決定!!行こうぜ!』


ええっ!?


まだ話してる途中だったのに、
蓮見さんとジュニアに腕を組まれると、
そのままタクシーに乗せられ逃げられ
なくなってしまった。


強引過ぎる‥‥‥。
蓮水さんが2人いるような状況に、
もう何も言えずに項垂れる。


もうジュニアと関わることがないと
思っていただけに、まさかの事態に
降りたら走って逃げたいくらいだ。


『今日は俺の奢りだから、
 沢山飲んで食べていいぞ。』


「‥‥はい‥ありがとうございます。」


初めて来た洋風のオシャレなお店に
連れてこられると個室に案内され、
そこに来ていた亮さんを見てかなり
安心した。


「亮さんッ‥お疲れ様です。」


『ハハッ‥また捕まったんだ?
 可哀想に。運が悪かったね。』