玉響の花霞    弍


『フッ‥‥ほらな?
 8時でも我慢した方じゃないか?
 アイツの腹時計は既に限界かもな?』


そう言いながらも嬉しそうに
玄関に向かう筒井さんに笑ってしまう。


カトラリーなどは筒井さんが用意
してくれたので、料理をテキパキとテーブルに並べ始めた。



ガチャ


『good morning!!来ちゃった!』


『来ちゃったって‥‥お前が来ることは
 昨日の時点で分かってんだよ。』


「おはようございます。
 蓮見さん、亮さん!」


『井崎さんおはよう。
 朝から悪いね‥‥旅の疲れも
 知らないお子様が朝から叩き
 起こしにくるもんだから。』


『霞ちゃんgood morning !
だってさ?昨日は来てすぐに
 追い返されたじゃん?
 明日来いって言われたから
 来ただけだし。おっ!!まさか
 俺らの朝ごはんもあるの!?』


「はい、勿論です。
 普通のご飯しか作れてませんが、
 どうぞ。」


筒井さんの家なのに、私が
どうぞなんて言うのもおかしいけど、
2人の分も作ってた頼まれたから
そのつもりだったから



『やった!!』

『井崎さんありがとう。
 和食恋しかったから嬉しいよ。』


5日間でも洋食ばかりだと
やっぱり飽きてしまうんだよね‥‥


あんなに沢山用意したおかずも
嘘みたいになくなり、三合炊いた
土鍋のご飯も全て完食してしまった



『ご馳走様でした。
 はぁ‥‥やっぱり米だよな‥。俺
 こういう時に、日本人で良かったって
 思う‥‥。霞ちゃん料理上手だね。』


洗い物を運んでくれた蓮見さんが
満足そうにお腹を撫でる姿が可愛くて
クスクスと笑ってしまう
 
 
「お粗末様です。
 あの‥‥誕生日プレゼントに
 あんな素敵な旅館で過ごさせて
 くださってありがとうございます。
 すごく嬉しかったです。」


お辞儀をして改めてお礼を伝えると、
持っていたお皿を置いた途端
思いっきり抱きしめられた。


「は、蓮見さん!!!」


『ん?だって可愛くてさー。いっつも
 滉一が独り占めじゃん?』


『おい、いい加減にしろよ?』


ドクン


バリッと私の体から蓮見さんを
簡単に引き剥がすと、睨む筒井さんに
呆れたように盛大なため息を吐いた。


『滉一くん、昨日も言ったでしょ?
 大人の嫉妬は醜いよ?』


『は?嫉妬なんかするかよ‥。
 お前のはセクハラだ。ほんとに
 いつか訴えられるからな?』


『えー?じゃあ滉一くんなんて
 逮捕出来るくらいしてるじゃん。
 ねぇ?霞ちゃん?』


えっ!?