玉響の花霞    弍

早朝5時に起きてから
筒井さんとマンションを出ると、
下で軽くストレッチをしてから
ランニングをニ時間程かけて
ゆっくりと走った。


最近では、週に何回か1人で
走っていたけれど、隣を走る人が
いるだけで景色さえ違ったものに
見えてしまう


『ペース大丈夫か?』


「はい、平気です。」


薄暗かった景色が明るくなる頃には
体が温まり始め、マンションに戻る
頃には、2人とも上着を脱いで
半袖を捲り上げるほど汗をかいていた



『シャワー浴びるぞ。』


「はい、お先にどうぞ。」


『は?汗が引いて風邪を引くだろう?
 一緒に入るぞ。』


「えっ!?だ、大丈夫ですから!」


『フッ‥‥‥。ほら行くぞ‥‥』


チュッと音を鳴らして唇に
キスを落とされると、手を引かれて
お風呂場まで連行され、恥ずかしがる私を他所に、筒井さんとシャワーを浴びたのだ。


意識がハッキリしてると
恥ずかしさで終始筒井さんに背を向けて
いるのが精一杯なのに、そんな私を見て楽しそうに笑っていた。


『恥ずかしがってるけど、
 早くしないとアイツらが来るぞ?
 特に煩い拓巳がな?』


えっ?


「ンッ‥‥」


突然私の首筋を強く吸った筒井さんは
先にシャワーを終えて出て行った。


なんであんなにいつも通りで
居られるのか私には理解できない‥‥


裸なんて見られてるけれど、
やっぱりそういう雰囲気ではない時は
筒井さんを直視なんて出来ないよ‥


いけない!!
のんびりしてると本当か蓮見さん達が
突撃してきてしまう‥‥


朝ごはんも作らないといけないから
急いで出なきゃ‥‥


そこからはフルスピードで洗濯機を回すと、すぐに朝ごはんの準備を進めた



『悪いな‥アイツらの分も多めに
 頼めるか?俺も手伝うから。』


「平気ですよ。作り置きも
 下ごしらえしたのもあるので
 すぐ出来ますから。」


蓮見さんと亮さんも帰国したばかり
だから和朝食にしよう‥‥


豆腐とほうれん草のお味噌汁に
オクラと茄子の煮浸し。
梅干し、お漬物などは冷蔵庫から
取り出して並べ、鱈子をトースターで
焼いてる間にだし巻き卵とアジの干物を
焼き始めた。

ご飯も土鍋に多めに炊いたから
足りるといいけど、3人とも
ものすごく食べるから大丈夫かな‥‥



ピンポーン