犬猿☆ラブコンフリクト-山崎優の場合-

3年後──



高校を卒業した俺は、大学へ進んだ。



そして、今年からは彼女の唯が同じ大学に通うことになる。



2年耐えた甲斐があった。



「優さん」



「唯、来たね」



大学のキャンパス内で唯が俺に駆け寄ってくる。



その姿を見るだけで、胸がキュゥッと締め付けられる。



会う度に、好きという感情が大きくなっていく。



「ねぇ、唯。これ、付けててくれない?」



「?なんですか?」



唯の目の前にバックの中に入れていた箱を取り出す。



それを見て、ハテナを浮かべている唯。



「開けてみればわかるよ」



「え・・・っと、指輪?」



「うん、ペアリング。虫除けのためにね」



大学生になって、唯は高校の時より大人っぽくなった。



色気も出てきたし、他の男に目をつけられることも増えるだろう。



それを牽制するためのペアリングだ。



まぁ、唯は付けたがらないかもしれないけど・・・。



ネックレスにでもしてくれればいいかな。



「コレ、左の薬指にしてもいいですか?」



「えっ!?」



受け取った指輪を見た後に俺を見つめ、首を傾げる。



想像とは違った反応で驚きを隠せない。



てっきり、ネックレスにすると思ってたのに・・・。



「・・・ダメですか?」



「ダ、ダメじゃないけど・・・!!唯はいいの?」



「ダメだったらこんなこと言いませんよ」



そう言って、自分の左手の薬指に指輪をはめる。



それを見て、満足気に笑う唯。



「優さんもつけてくださいよ。ペアリングなんでしょ?」



「う、うん・・・わかってる」



少し戸惑いながら、自分の左手の薬指に指輪をはめる。



それを見た唯は、俺の手に手を重ねてきてキュッと握りしめた。



「ふふっ、お揃い」



嬉しそうに笑う唯の表情を見てキュンとする。



3年前はこんな風に笑うところなんて見たこと無かったのに・・・。



「そうだね。お揃いだ」



可愛い顔をしている唯に思わず触れるだけのキスをする。



だけど、前みたいなたどたどしい反応はしない。



「キャンパス内ですよ」



「見せつけたいの。唯は俺のだって」



「もう・・・ホント、独占欲強いんだから」



そう言って微笑む唯。



中学生の時、逆ナンから救われて一目惚れした女の子。



人違いをしたり、紆余曲折(ゆよきょくせつ)したけど・・・こうして幸せに過ごせてる。



最初はつっけんどんで、何しても無反応だったのに、今では彼氏彼女になってる。



唯に出会えて・・・良かった。



指輪を嬉しそうに見つめる唯をみつめながら、強くそう思った。





END