幼馴染[短編]

 そのまま彼は唇を重ねてきた。

 昔と全く変わっていない
 押し付けるようなキスだった。

 唇が離れると、
 宮田はあたしに背を向けた。

 そのときちらっと見た彼の顔は
 さっきの夕日で
 赤くなった顔よりも
 もっと赤かった気がする。

 あたしは彼の手をつかむ。

「どうだった?」

 多分、そうやって彼の手をつかめたのは
 彼の顔が真っ赤になっていたから。

 もしかするとあのときも
 そうだったのだろうか。

 あたしが自分のことで
 頭がいっぱいで気づかなかっただけで。

 その返事のように振り向いた彼は
 もう一度あたしにキスをしてきた。

 さっきと同じようなキスだった。