空には夕焼けが広がっている。

 あたしが家への道を
 急いでいたときだった。

 隣で自転車のブレーキ音が聞こえた。


 振り向くと、そこにいたのは
 佐紀の口から出てきた宮田だった。

 中学校に入って彼は
 髪の毛を短く切った。

 以前より少し大人びた感じが
 やけにむかつく。

「お前、キスしたことないんだってな」

 それが嘘だと知っている彼は
 冗談ぽく言った。


「なんであんたにそんなことを
 言われないといけないよの」

 あたしは歩き出す。