恋愛日和 いつの日か巡り会うその日まで

危ない……！！普通にうんって言ってしまうところだった。


「ここ使っていいみたいだから座って？
　資料を持ってくるね。」

『それにしてもほんとに凄いとこだな？
　あの人が1人で住んでるのか？』


みんながテーブルに移動して椅子に腰かけるも、全く落ち着かないようで今だに
キョロキョロしている。


「そうだよ。」


さっき仕事って言ってたけど、瀬木さんの職業を言ってもいいのか分からず
後で聞いてみることにした。


2階から資料を沢山持ってくると、
安藤くんが珍しそうに手に取った


『すごいな！！これ…貸し出しが難しい
　レベルのものまである！』

『ほんとだ！……私も見ていい？』

「勿論だよ。」


彩にはそれとは別の本を2冊手渡した。


『何これ？』

「先生が彩の課題の参考になるからと
　昨日別で渡してくれた本なの。」

『ほんと！？さすが日和だわ。
　私の事までありがとう！』


無理を言って今日来てもらったから、
彩にはほんとに申し訳なかったんだよね


私は熱い珈琲をトレイに乗せると
仕事部屋をノックした


『どうぞ』

「し‥失礼します。」


眼鏡をかけて原稿を見つめる瀬木さんの
邪魔にならない場所に珈琲を置いた


「あの‥‥瀬木さん？」

『ん？』

「瀬木さんの仕事の内容って
　みんなに言っても良かったですか？」


自費出版から和木さんの信頼を得て
出版している人だと聞いてるし、
人気も出てきたうえに個人宅だから
言ってもいいか不安になる



『構わないよ。』

「ほんと？‥‥ですか？」

『敬語か……立花らしいな。
　今日は仕方ないから我慢するか。』

「瀬木さんありがとうございます。
　勉強頑張って来ますね。」


私もノートパソコンを用意して安藤くんの隣に腰掛ければ、目の前の彩が真剣に本を読んでいた。


なかなか借りたくても借りられない本だけに彩以外の2人も静かに読んでいた。


『そう言えばさ、あの人って
　何の仕事をやってるんだ？
　こんな本を持ってるって凄いぞ？』


「あ…あのね？作家の仕事してるの。」

『『作家！？』』

予想通りの反応に上手く説明出来るか
心配になりつつも、やっぱり気になる
よね‥‥。


『あの人ってなんて人！？』

「…えっと‥瀬木 遥だよ。分かる？」

『えっ！！』