作品の為の資料だと思って、慌てて
有名なお店のを買ってきたのに、
残されたケーキを見つめるしかない‥。
閉ざされてしまった空間で改めて感じる視線に顔を上げると、満面な笑みを浮かべた2人とバッチリ目が合った。
「…‥あの良かったらこれ食べます？」
『『食べる！！いいの！？』』
「ふふ。勿論です。
一人で食べきれないですし。」
珈琲を改めて淹れなおした私は、
ケーキをお皿に取り出してリビングの
ガラステーブルに置いた
出版社って言ってたよね……。
将来なりたい職業候補でもあるから、
少し2人のことが気になってしまう
「どうぞ。」
『あら、あなたもここで一緒にここで
食べましょうよ。』
「えっ？……でも仕事中ですよね？」
『いいのよ。今頃残りの原稿仕上げ
てるだろうし、チェックもしないと
いけないから一旦休憩しましょ？』
「‥‥じゃあお言葉に甘えて。」
なんとなく断れず、自分の分のケーキとカフェオレを持って来ると、向かい側に座らせていただいた
「‥‥‥‥‥」
なんだろう‥‥‥。
ずっと見られてる気がする‥‥。
『君は隼人のなに？』
ﾄﾞｸﾝ
「‥あ‥えっと‥ここで住み込みで
働かせていただいてるM大3年の
立花 日和です。」
『住み込み！？へぇ‥あの隼人が、
他人を家に置くなんてね‥‥。』
何か……この人スーツは着てるけど、
出版社とか会社員というより夜のお仕事の人に見えるのは私だけ？
それに、実際ケーキとか似合わないのに、めちゃくちゃクリームを口につけて
子供みたいに美味しそうに食べてるし
ギャップがすごい‥‥‥
『日和ちゃんが先生の
アシストしてくれてたんだね。』
「えっ？‥‥うーん
‥アシスタントなんですかね？」
私は言われたことしかしてないし、
アシスタントと言えるほど役にも立たずで胸張ってそうですって言えない気がするんだけどな‥‥
