檻の中の恋と、奪いに来た君  〜閉じ込める愛か、奪い出す愛か

そのとき。

不意に、視線を感じた。

ゆっくりとそちらを見る。

部屋の端に立っていたのはー

「…琉生くん…」

小さく名前を呼ぶ。

声にならない声。

それでも、届いたのか。

琉生の視線が、ほんの一瞬だけ揺れた。

何も言わない。

ただ、じっと見ている。

その拳が、わずかに強く握られているのが見えた。

助けて。

そう言いたのに、言えない。

言ったら、全部壊れてしまいそうで。

琉生は動かない。

動けない。

それでもー

その目だけは、ずっと離さなかった。