檻の中の恋と、奪いに来た君  〜閉じ込める愛か、奪い出す愛か

「顔色、悪いな」

低く落ちる声と同時に、頬に指が触れた。

びく、と体が跳ねる。

けれど凛月は気にした様子もなく、そっと髪を撫でる。

「ちゃんと見てやれなかったな」

どこか優しくて、責めるようでもある声色。

その手つきは、あの頃と変わらない。

熱を測るように額に触れられて、思わず目を閉じそうになる。

「…もう大丈夫だ」

静かにそう言われて、一瞬だけ、胸の奥が揺れた。

あの頃みたいに。

何も考えずに、ただ隣にいられたらー

「…っ」

違う。

それは違う。

そう思った瞬間、体を引こうとする。

けれど、その動きを読んでいたみたいに。

凛月の腕が、ゆっくりと背中に回る。

逃げ道を塞ぐように。

「もう、離さない」

耳元で囁かれた声に、息が止まった。