檻の中の恋と、奪いに来た君  〜閉じ込める愛か、奪い出す愛か

少しの沈黙。

その空気が、妙に落ち着く。

「…あの時も」

ぽつりと、琉生が言った。

その一言で記憶が蘇る。

中学の頃、逃げる前の夜。

「…覚えてる?」

「忘れるわけねえだろ」

その声は少しだけ優しい。

「怖いって言ってた」

「助けてって」

胸が締め付けられる。

「…助けてくれたよね」

小さく言うと、琉生の手がわずかに動く。

触れそうで、触れない距離。