檻の中の恋と、奪いに来た君  〜閉じ込める愛か、奪い出す愛か

そのまま、いくつもの角を曲がってー

ようやく、人の気配が消えたところで足を止めた。

「は…ぁ…っ」

壁に手をつき、崩れるようにしゃがみ込む。

…いない。

追ってきてない。

逃げ、切れた…?

そう思った瞬間、全身の力が一気に抜けた。

同時に、体の奥からじわじわと熱が広がっていく。

「…やば…」

頭が、重い。

もともと強くない体が、限界を訴えている。

呼吸が浅くなって、視界がぐらつく。

立ちあがろうしても、うまく力が入らない。

このままじゃー

「愛葉」

聞き慣れた声が、すぐ近くで響いた。

ゆっくりと顔をあげる。

そこに立っていたのはー

「…琉生、くん…?」

2年前、あの日。

自分をここから逃がしてくれた人。

一瞬、張り詰めていたものが緩む。

「なんで…ここに…」

問いかける声も、ほとんど出ていなかった。

琉生は何も言わず、ただ近づいてくる。

その視線が、どこか焦っているように見えて。

「…立てるか」

低い声。

変わらない。

「…むり…」

そう答えた瞬間、力が抜けた。

倒れかけた体を、琉生がすぐに支えてくれる。

「…間に合った」