魔女狩りの世界の果てで、あなたと愛を歌おう


 席についてくれて、ありがとう。

 まずは、ごめん。カナ。

 たくさん、悲しませて。苦しませて。

 ……つらい、思いをさせて。

 準備にてこずって、ここで話をするまでに一ヶ月もかかっちまったな。

 長い話になるけど、聞いてほしい。

 おれと、火野がスパイだってこと、驚いたろ?



 ……そうだよな、うん。



 外国人だってことも、びっくりしただろ?

 でもな、おれたちも大和国の人も、そうかわりないんだぜ?




 ……ああ、ごめん、話を続けよう。




 おれたちは、大和国の魔女の実態を調べに来たんだ。

 おれは転校した学生として、五月の半ばから。

 火野は、先に行って、一年半前から魔女監視庁の職員としてな。

 魔女のことはウワサで知ったつもりではいたけど……。

 ひどいものだったよ。

 想像以上だった。

 こんなに人権を無視された扱いをされてるなんて。




 ん? ああ、大丈夫。




 ここでは、火野のつけてる大和政府の盗聴器は働かない。

 そういう場所なんだ、ここは。

 話を続けるな。

 おれは、魔女の立場をなるべく一般人と近づけるように努めた。

 ……やっぱり、この言葉、嫌だな。

 「魔女」と「一般人」。

 このふたつに、違いはない。みんな「ただの人間」なんだ。

 その言葉に、おれの気持ちに、ウソはない。



 ……信じられない、か。



 うん。カナの言うことはもっともだ。