手の主はそのまま割り行ってきて、ふたりの男性を引き離した。
そのまま、わたしの目の前に男の子があらわれるかたちになる。
「さ、行こう!」
にかっと笑ったその子は、とんでもなく美形な子だった。
つんつんと逆立つ髪は、きれいな金髪だ。
キリッとした大きな瞳も、同じく金色。
すっと通った高い鼻に、桜色のふっくらした唇。
笑顔を浮かべているその顔は、親しみがもてるけど、
とても整っていることがわかる。
わたしが固まっていると、
男の子は、
「ほら! もうすぐ扉開いちまう! 立てるか? つかまって!」と、
わたしにむかって手を差し出した。
あまりに自然に手を出すものだから、うっかりその手をとってしまう。
その手の力を借りて、ふわ、と立ち上がれた。
温かい手のひら。
力も、ちょうどいい。わたしを気遣っているのがわかる。
さっきとは違う心臓のドキドキ。
こんなきれいな男の子と、手をつないでいるなんて。
それに……。
人にこんなに優しくされたのは、久しぶりだ。
「よし、降りよう」
手をつないだまま、ドアから降車する。
無事、駅のホームに降りられた。
「あー、よかった。降りられたな」
にこにこと満足そうにしてる男の子は、
なんだか、人懐っこいゴールデンレトリバーみたい。
いや、髪質からして、シベリアンハスキーかな?
ふふ、金の毛並みのシベリアンハスキーか。



