ええ、わかっています。
分かっていますとも。我ながら馬鹿なことをしていることは。
『死んでも行きません』
今朝、私をお祭りに誘ってくれただけの坂本くんに、強く当たってしまったこと。
そして、たまたま見かけた彼の好きだと言っていたキャラのガチャガチャをあげたら、機嫌を直してくれないだろうかと安易に思ってしまったこと。
結局空回りして、1500円をドブに捨ててしまいましたが。
「帰んの?」
「……」
「これは?」
イースト菌マンのキーホルダーが差し出されます。私はその手を押し返しました。
「あげる」
「は? いらんし。ゴミ押し付けんな」
「いらないなら、捨ててくれればいいよ」
「……お前な〜。……はあ、もういいや。ほら、行くぞ」
ポケットにキーホルダーを押し込んだ白波瀬くんが、歩き出します。
蒸した夏の風を感じながら、私もその背中に続きます。
月夜見祭まで、残すところあと5日です。



