隣の席の坂本くんが今日も私を笑わせてくる。


 瞼の裏側には、今朝の光景が鮮明に映り込む。

 『死んでも行きません』

 ……あ、あかん。
 めっちゃダメージ食らってる、俺。

 植物園の一件から、倉橋さんとの距離が近づいたんじゃないかと思ってた。少しは気を許してくれたんやって、舞い上がってた。

 久しぶりにあんな、真っ向から拒絶された気する。

 だって、夏休み入ったら、倉橋さんに会う口実がない。

 一ヶ月。されど、30日間。
 倉橋さんに30日間も会えないのは、あまりにしんどい。
  
 祭りに誘ったのは、ただ、会いたかったから、それだけやったのに。

 沈み込む俺の背中を早川が強めにバシバシ叩く。

 「坂本、元気だしなって。アイス奢ってやるから。糸井くんが」
 「俺なんだ。まあいいけどさ」
 「……」
 「ほら、帰るよ〜。午後から雨降るらしいし」
 「……うん」

 促されるままに立ち上がり、背中を押されながら教室を後にした。