やっぱり、俺の違和感は、正しかった。
「倉橋さん見て、あのペンギンめっちゃ顔を凛々しくない?」
「そうですね」
「……倉橋さん、そっちにペンギンはおらんで」
「クラゲって心臓ないらしいで」
「へえ」
「見てると癒されるなぁ」
「そうですね」
「……ふ」
「何ですか?」
「クラゲも倉橋さんの事好きやって。すごい集まってきてるもん」
「……」(フイッ)
「ゴマあざらしの赤ちゃんやって。見に行く?」
「!」(コクコク)
「……ふ。ええよ、行こか」
「……わ、わ……」
「(可愛さの余りちい○わみたいになってる……)」
「! い、今キューって鳴きました!」
「うん、可愛ええね」
「…………、はい」
「(秒で目逸らされた……)」
「ゲッ、にんじん……」
「嫌いなんですか?」
「……別に食べれん事ないけど」
「ふ」
「あー! 今ガキやなって思ったやろ! 倉橋さんもさっきからトマト食べてへんやん」
「……別に食べれないことはないです」
「……なあ、交換こしよ? 一生のお願い」
「コホン。仕方ないですね」
「ありがとう。持つべきものは倉橋さんやね」
「……」(フイッ)
……今日、倉橋さんと全然目が合わない気がする。
俺から目を合わせようとすると、すぐさま逸らされる。心なしか急に態度がそっけなくなる瞬間が、何度もある。
分からん……なんでや……?
女の子って難しい……。
俺はそんなことを悶々と考えながら、イルカショーの観客席近くの売店に並んでいた。
クソォ! よお思い出せ! 絶ッ対なんかやらかしたんや!
なんか……なんか……。
…………いや、心当たりしかないんやけど!?!?!?!?!?
走馬灯のように、祭りで散々発言した痴態の数々を思い出して、俺は頭を抱えた。
あれのせい!? あれのせいなんか!?!?
あれで愛想尽かされたんか!!?? ありうる……!
い、いや待て。落ち着け!!
でも、あの後でもまめに連絡くれるし、何より今日ここにいるって事は少なくとも俺に愛想尽かしたってことはない……はず……。
ぐるぐる頭の中で考えているうち、俺の前に並んでいた人が消え、売店のおっちゃんが「にいちゃん注文は?」と急かしてくる。
「……あ……、コーラとお茶を……」
「にいちゃん、顔真っ青やぞ!? 大丈夫か!?」
「ダイジョウブ……デス……」
楽しい水族館に似つかわしくない死にそうな顔をしていたせいだろうか、おっちゃんがサービスでたこ焼きもくれた。



