隣の席の坂本くんが今日も私を笑わせてくる。


 スマホの電源ボタンを押すと、日時は8/31 9時40分だった。

 予定よりも20分も早く着いてしまった。

 顔を上げると、突き抜けるような青天井に思わず目を細める。

 妙にソワソワして落ち着かない。

 心を落ち着けるために、手にしたペットボトルを煽る……が、すでに中身は空っぽだ。ここにくる道中で買ったはずなのに、もう飲み尽くしてしまった。

 ……やばい、どうしよ。めっちゃ緊張してるやん、俺。

 動揺する俺に追い打ちをかけるように、スマホの着信音が鳴る。

 “もうすぐ着きます。”

 スマホから顔を上げて、周りを見渡す。
 行き交う人々が忙しなく通り過ぎていく。彼女の影を無意識のうちに探してしまう。

 心臓がどんどん早鐘を打って、早く彼女に会いたい気持ちが加速していく。

 改札口の方がすぐ見つけられるかなと、半歩進み出した時──くいっと、背中を引っ張られる。すぐさま後ろを振り返る。

 俺の背中の服を掴んで、肩が上下する小さな人影がそこにはあった。

 「……倉橋さん? 走ってきたん?」

 名前を呼ばれた彼女は──ついっと、顔を上げた。上気した頬にはほのかに笑みが浮かんでいる。

 「……ふふ、やった。私の方が早く見つけました」
 「……」


 ン゛ン゛ン゛ン゛ン゛ン゛ン゛ン゛ン゛ン゛ン゛ン゛ン゛ン゛ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 バックバックに鼓動を打つ心臓が意味わからんくらいに暴走する。頬の内側を噛み締めんかったら今すぐにでも叫んでいたに違いない。