一日、二回。
きみがくれるメッセージを、心待ちにしている。
おはようございます、から始まるたわいない会話。おやすみなさい、で終わる、少し名残惜しいやりとり。
そんな取り留めのないやり取りを、暇さえあれば見返していることを、きっと彼女は知らない。
☺︎
「侑!」
ゴウンゴウン、と唸り声をあげながら微振動する洗濯機に背中を預けてスマホをいじっていた手を止める。
「いつまで洗面所占領してん! さっさと退き!」
くぐもったオカンの声がしたと思ったら、浴室のドアを向こう側からどん、と叩く。
「ちょお待って!」
濡れたままタオルを被せただけの髪を、乱暴にかき回して、俺は慌ててドアを開ける。
ドアの向こう側に立っていたオカンは、訝しげな視線を寄越してくる。
「随分長い風呂やったな〜」
「オカン、知らんかったん? 俺、潔癖症やねん」
「アホこけ。あんたの部屋、こっち帰って来て1日でもうぐちゃぐちゃやったで」
「……」
「もしかして……、好きな子からの連絡でもしとったん」
「はぁ!? ちゃうし!」
「はいはい、そういうことにしとくわ」
適当にあしらわれて、オカンはさっさとリビングの方に消えていく。
夏休みに入って、二週間と少し。
8月中旬。世間では、お盆休み真っ只中だ。
俺は数ヶ月ぶりに関西にある実家に帰省していた。
駅近郊にそびえ立つ、ファミリー用マンションの3LDK。
中学んときにオカンが再婚して、しばらくして俺には弟ができた。弟の誕生をきっかけに、手狭な家を引き払い引っ越して来たこの家に、俺は実際ところ半年も住んでいない。
だから、帰って来て一週間、俺は箸やスプーンが何処にあるかも忘れてしまった。



