「……いっぱい反省した?」
「ああ、」
「ごめんなさいは?」
「ごめん。いっぱい傷つけて、ごめん。つまんない奴とか言って、ごめん。ユウが一番辛い時に、寄り添ってやれなくてごめん。自分勝手で、ごめん。もう絶対に傷つけないって誓う。破ったら、針千本でも毒でもなんでも飲むから、」
私を捉える手のひらが、さらに強く、強く、握りしめます。
「だから……もう会わないとか、悲しいこと言わないで」
私よりも大きくなったくせに、私の顔色を伺う彼の表情は、昔のままです。私を怒らせて、凹むところは何も変わっていません。
「私に会えないと悲しい?」
「……多分、泣く」
「ふふ。何それ」
思わず笑ってしまいました。
潮時です。勇気を出してくれた彼に免じて、私もまた応えなくてはいけません。
「分かった。許す」
「は……」
ガクッと、白波瀬くんが膝から崩れ落ちます。
「はあーーーーー……」
両手で顔を押さえて、大きく息を吐き出したかと思うと、
「心臓止まるかと思った……」
と、弱気な声が手のひら越しに聞こえてきました。
「大袈裟な」
「……、悪いかよ。こちとら小2から拗らせてんだよ。腰くらい抜けるわ」
「ふふ、」
不貞腐れた物言いをしつつも、頬を赤くするちぐはくな言動がおかしくて私はつい笑ってしまいます。
彼はチッと舌打ちをしました。
「はいはい。笑いたきゃ笑え。こんな無様な俺、今後二度と拝めないだろうからな!」
私も膝を曲げて、しゃがみます。
頬杖をついてじっと彼の顔を覗き込むと、白波瀬くんの瞬きの回数が露骨に増えます。
「至くん」
「……な……、んだよ」
キャスターが街灯インタビューするようにエアマイクを彼に向けます。かつて、祖母がカミツレを手に、祖父へ問いかけたように。
「“つまらない女”に振り回された気分は、どうですか?」
至くんは、ぶすっと口を横一線に結びます。
そうして差し出されたマイクに近づくと、私にしか聞こえないほど小さな声で囁きました。
「………………、俺の負けだ。あんたには一生、敵わないみたいだ」
私が再び笑い声を上げると、彼は暗がりでも分かるほど顔を赤らめて、笑うな、と怒るのでした。



