夏休みに突入して4日目。
窓を締めてクーラーガンガンに入れても、外の蝉はミンミンうっさいし、お陰でなんにも集中できんくて、課題は全然進まない。
「はあ〜〜……なんもやる気せん……」
シャーペンを放り出して、俺は机の上にだらしなく凭れ掛かる。
ぴこん、とすぐそばに置いていたスマホから着信音なる。
俺は飛び上がって、スマホを確認する──『課題は順調?』と糸井からの連絡だ。
……くそ、一瞬期待した。
言うて、今まで向こうから連絡くれたことなんて、一回もないけど……。
今何してるんやろ、とか。
ひょっとして、白波瀬くんとおるんかな、とか。
ぐるぐる取り留めのないことばかり考えて、何一つ身に入らない。
「…………はぁ、アイス買いに行こ」
重たい身体を起こして、俺は気分転換の旅に出ることにした。
☺︎
「219円になりまーす。お支払いは?」
「現金で。……ん?」
ポケットに手を突っ込んで、財布がないことに気づいた。やば、持ってくるん忘れた。
コンビニ店員の顔付きが徐々に険しくなっていくのが見えて、内心焦る。
俺は苦笑いで手に持っていたスマホを見せた。
「すんません、やっぱ電子マネーで……」
「──ついでにこれも一緒に会計お願いします。電子マネーで」
右側から聞き覚えのある声がして、勢いよく振り返る。
俺よりも少し高い視線と目が合った。
奴、白波瀬至はにこりと愛想よく微笑んだ。なぜだか背筋がゾッとする。
「合計で520円になります」
「え、あ、ちょお、」
「ありがとうございます」
素早く会計を済ませた白波瀬くんが、コンビニ袋を受け取って颯爽と出口に向かっていく。
えっ? なんなんこのシチュエーション。
なんで恋敵かもしれん奴に少女漫画みたいなむず痒いことされてるん???
俺のことも攻略しようとしとるんかコイツは。怖っ。……ハッ! いかん、しっかりしろ!
俺は慌てて白波瀬くんの背中を追いかけて、呼び止める。
「ちょお、待って!」
「? あ、ごめん。はい、アイス」
「あ、ども。……じゃなくて! お金!」
「いいよ、別に。その代わり、ちょっとそこで話してかない?」
駐車場の手前にあるちょっとしたスペースを白波瀬くんは指差した。



