孤独なお嬢様は、孤独な王子様に拐われる。





─────もう、終わりにしよう。


今日だ、それは今日だったんだ。

1杯600円ほどの新作ラテを飲んでみたくて初めてワガママを言ってみても、それさえ通らなかった。


本当はあのときにもう、私は覚悟していた。



「ねえどこいく~?あたしお腹すいちゃったー」


「うわっ!マジかよ財布スラれた…!!」


「ねえねえホスト興味ない?初回は5000円でドリンク飲み放題だよ!」


「もしかしてミミちゃん?俺、リョウダイ。よかった~、ずっとあの子かなって思っててさー」



気づいたときには、繁華街。
四方八方からいろんな音が聞こえてくる。

この時間に無理にでも照らされるライトというものは、こんなにも鬱陶しいのだと。


目的地なく走っていた私は、途中で何度か声をかけられても足を止めなかった。


むしろ、そんな声が背中をもっと押してくれる。