父性本能を刺激したようで最上級の愛で院長に守られています

「ちょっと戸根院長! 私の缶ビール振ったでしょ、酷い、びしょ濡れにした!」

「人聞き悪いこと言うなよ、冷蔵庫から落としたのがそっちだったんだな」

「渡すときに落とした方を自分が取るんですよ」
「ヤダよ、濡れる。俺がシミ抜きしてやるから」
「してやるからじゃないですよ、したいくせに」
「シャワー浴びた方が良いな、おいで」 

 富裕層御用達の超高級ホテルみたいなバスルームに案内されて、アメニティグッズが細かく揃えられて置いてある。

「好きに使えよ、ワンピースはそこのカゴに入れておけ。これ俺のしかないや、Tシャツとスウェット」
 それだけ言って行ったから、お借りしてシャワーの後にドライヤーで髪も乾かして出て来た。

 またワンピースを着たみたいに大きくて、さらにスウェットは松の廊下ばりだから折り曲げた。

「お先にいただきました」
「素顔も可愛いよな、麻呂みたいで」 

「麻呂って、よくも言いましたね。それは他の女性の前では禁句ですよ、決して褒めてませんからね」

「まだ俺の彼女って自覚がないのな。俺が他の女と素顔を見せる関係になっても良いのかよ」

「あっ! 嫌、ダメですダメ、絶対にダメ!!」
「ここまで拒否られると男冥利に尽きるな。で、さっきの話は理解したか?」
「ん?」

 二本目の缶ビールを渡されて、ありがたくプルタブを引き上げて喉を潤す。

「ここに伊乃里も住んで二人で一緒にバレットを育てる話だよ」
「あ、ああ」
「なに素っ頓狂な声出してんだよ。相変わらず鈍感野郎だな」

「失礼しちゃう」
「ヘソ曲げるなよ、プロポーズだって分からない?」
「プロポーズだったんですか、ただの同居人じゃなくて」
「ただ同居したいだけの奴に山のようなプレゼントを贈って、こんな夜に部屋にあげるかよ」

「エッチ、下心ありありじゃないですか」

「お前を抱きたいさ、好きなんだから。お前だって俺に抱かれたいだろ、好きなんだから」
 
 ドストレートな男。

「そうだ、戸根院長がプレゼントしてくださった洋服の試着させてください」

「見たい。ここで着替えるか? 寝室に行っていようか?」

「シャワー浴びて来てくださいよ」

「おっ、ヤル気満々だな。それに寝室に行かれて寝られちゃってもつまらないよな」 

「ちょっ、戸根院長!!」
「冗談だよ、シャワー浴びて来るわ」
 飄々とした口調で冗談を言うからかなわない。

 五分ぐらい経ってシャワーの音がしたから、Tシャツとスウェットを脱いで試着を始めた。