朝が来る。

日が昇る。

東の空からゆっくりと。

私はそこから目を背けて、反対側のまだ暗い夜の世界を眺める。

向こう側にあるだろう、私の故郷へと思いを馳せて。

季節は凍えるように寒い冬へと変わろうとしていた。






「ん…、ローラ?」


聞き慣れた低い声を背中に感じ、ゆっくりと振り返る。

黄金色に輝くブロンドの髪。

まだ眠さを隠しきれないエメラルドグリーンの瞳。

すらりと伸びた四肢は、羨ましいくらい。


「あ、起こしちゃった?」


「いや、自然と目が覚めた」


いつの頃からだったか。

ギルと同じベッドで目を覚まし、同じ朝を迎えるのが当たり前になったねは。

あんなにも遠かった存在が、今では一番近い存在へと変わっていた。

ギル…、ううん、ギルバート。

シルフィード国の絶対的存在。

絶対的、王。