昔々、それはいつのことであったか。 今ではもう定かではないが。 ある一人の王が国を治めていた、そんな御時世。 その王には、生涯ただ一人だけ。 愛した美しい姫君がいた。 二人は盲目のように。 お互いしか見えないように。 ただお互いを求めた。 名を呼び、名を呼ばれ。 触れて、触れられて。 それだけで、ただお互いがお互いのそばにいるだけで、二人にとっては至福の時だった。 その盲目までの愛が、時として仇となることも知らずに……――