季節はずれの桜の下で


「心桜、大丈夫……?」

 大和くんが行ってしまったあと、ハルちゃんがわたしの顔をのぞきこんできた。

 心配そうにわたしを見つめるハルちゃんの顔を見たら、気が緩んで、ぐちゃぐちゃになった感情が、涙になってまたあふれ出してしまう。

「どうしたの? 大和になんかされた?」

 ハルちゃんに聞かれて、わたしはゆるりと左右に首を振る。

「……が、……た……」

「ん? なに……?」

 泣きながらこぼした言葉は、ハルちゃんには伝わらない。

 喉がつまって、胸が苦しい。

 あのね、ハルちゃん。桜介くんが、いなくなっちゃった……。