季節はずれの桜の下で


「これからもずっとここで会える?」

 わたしが尋ねると、桜介くんがゆっくりと振り向いた。 

 しばらく考え込むようにわたしの顔をじっと見たあと、桜介くんがふっと目を細める。

「会えるよ。桜の花が散るまでは」

「え?」 

 桜の花が、散るまで……?

 やっぱり桜介くんは、ときどき不思議なことを言う。

 季節を間違えて咲いた桜の花は、今が満開。

 桜が散るのは、どれくらいだろう。

 一週間? それとも、もっと――?

 どうして、桜の花が散るまでなんだろう。