季節はずれの桜の下で


 不安な気持ちになっていると、

「みさとも、なにか心桜に頼みたいことある?」

 大和くんがみさとちゃんに話しかけた。

 大和くんてば、どうしてこのタイミングで余計なこと聞くんだろう……。今のみさとちゃんは、すごく機嫌が悪そうなのに。

「頼みたいことなんてないよ。ていうかさ、心桜ちゃんには何もしてもらわなくていいんじゃない?」

 空気の読めない大和くんを恨めしく思っていると、みさとちゃんが少しトゲのある声で言った。

「なんでだよ。心桜だって、グループのメンバーだろ」

 大和くんが反論すると、みさとちゃんがわざとらしくため息を吐く。

「そうだけど……。実際に見てない場所のこと、心桜ちゃんにまとめられるの? それに、心桜ちゃんって体調不良で校外学習を休んだわけじゃないよね。先生にきいたけど、保健室でサボってたんでしょ。そんなやる気のない人に、資料作りなんてできるのかな」

 ふだんはにこにこしているみさとちゃんが、今日はなんだか冷たくて言い方もきつい。

 校外学習をサボったわたしは、今回のグループワークには参加しないほうがいいのかも。

 そのことを大和くんに伝えようとシャーペンを持つ。

 机の中からメモを出して書こうとすると、

「心桜は大丈夫だよ。発表はムリだけど、資料まとめるのはうまいから」

 大和くんがそう言った。