班のメンバー四人の視線が、いっせいにわたしに向けられる。その途端……。
ドクン、ドクン、ドクン……。
わたしの心臓が早鐘を打ち始めた。
「心桜は、水族館と洞窟、どっちがいいんだよ」
大和くんが、ちょっとエラそうにわたしに話しかけてくる。
同じ幼稚園出身の宮地大和くんは、わたしに対してだけいつも少し上から目線だ。クラスの女子の中には、運動ができて、ハキハキしててクラスでも目立っている大和くんが好きだって言ってる子も多い。
だけどわたしは、強めの物言いをする大和くんのことが昔からずっと苦手。目が合うとなんだか怖くて、ドキドキして、ものすごく萎縮してしまう。
ここ最近はクラスが違ったからあまり関わることもなかったけど、中二になってひさしぶりに同じクラスになってしまった。
それだけでも気が重かったのに、校外学習のグループまで大和くんと同じになってしまったから、毎日ゆううつで仕方がない。
「心桜ちゃん、どっちがいいと思う?」
わたしが黙っていると、みさとちゃんがにこにこしながら机の真ん中に置いてあったタブレットを見せてきた。
「洞窟だよな」
「イルカに癒されたいよねー?」
大和くんとみさとちゃんのふたりから同時に選択を迫られて、わたしの体はカチンコチンにかたまった。
お腹のあたりから体が熱くなる感じがして、その熱がじわじわと上がってきて……。ほっぺたが熱くなる。



