季節はずれの桜の下で


『想いを伝える』 一年一組 夏目 心桜

 単刀直入に言います。わたしはずっと、きみのことが苦手でした。

 いつも上から目線だし、声が大きくて口調がきついし、近付かれると威圧感があるし。きみに話しかけられると、こわくて緊張してしまいます。

 それに、わたしはきみのことをずっと誤解していました。わたしは今まで、きみが話すのが苦手なわたしをバカにしてるんだって思っていて……。だから初めてきみの気持ちを知って、すごく驚いています。

 わたしはずっと、わたしひとりだけが傷ついていると思っていて……。自分は、教室にいてもいなくても変わらない透明な空気みたいだって感じてました。
 
 だけどきみは、わたしを心配して見てくれていたんだね。ありがとう。

 ホンネを言うと、ずっと苦手だったきみと急に仲良くするのは難しいです。

 でも、これからは、きみのことをちゃんと知りたいと思います。

 わたしはまだ、うまく声で気持ちを伝えられないけど。
朝、顔を合わせたときの「おはよう」からがんばってみるから……。そのとき、きみからの「おはよう」が返ってきたらうれしいです。


 それから、季節はずれの桜の木の下で出会ったきみに

 きみの隣は、わたしにとって息のしやすい、とても居心地の良い場所でした。

 この先の未来でも、きみのやさしい笑顔を見たかった。おとなになったきみに会ってみたかった。

 誰がなんと言ったって、きみへの気持ちはわたしの初恋でした。

 出会ってくれて、ありがとう――。


Fin.