口に甘いは腹に毒


 「はい……」と頭を下げて反省していると、



「やっぱり目を離したら危ないみたいだから……苹果ちゃんも、あんまり僕から離れないでね?」



 ふわっと頭に重みが加わる。玉露くんの手だ。

 手は形をなぞるように、何度も頭の上を滑る。


 え、本当に……?



「……いいの?」



 玉露くんの側にいても?

 わたしだけのわがままにならないのかな。


 玉露くんを見上げる。

 失ったと思っていた優しい笑みがわたしに送られていた。



「うん。いいよ」



 あ、なんで……。那由多先輩の前なら我慢できるのに。

 熱くなった目頭を服で拭おうとして──



「僕の前なら、いくら泣いてもいいよ」



 ぐいと引かれて目の前が真っ暗になった。

 玉露くんの胸に涙が染み込んでいく。