口に甘いは腹に毒


 玉露くんへ視線を向ける。

 別に助けを求める意図はなかったんだけど、玉露くんがそっとわたしの手を握ってくれた。



「大丈夫。僕もついてるよ」

「っ、……うん」



 場違いにも、きゅんと胸が鳴る。

 最悪だ。振られるのに、ますます好きになっていっちゃうなんて。



 それから、襲われた経緯を警察に説明し犯人が連れていかれた。

 犯人は前にも同じような手口でケーキの女性を襲っていたそうだ。

 ずっと『ケーキはフォークに食べられるために生まれてるんだろ!』って騒いでいて、大きく開かれた目と異質なオーラに感じたことのない恐怖を抱いた。


 だけど、繋がれたままの手が温め続けてくれたから。

 たった一人の力で、こんなにも安心できるんだって……恋心が胸の奥に溶けていった。