口に甘いは腹に毒


 目の前には玉露くん。

 夢の続きだと思いたいけど、この頭がはっきりした感じは間違いなく現実だ。


 カラオケのソファー、薄暗い部屋の中、重なる男女。

 ……出禁不可避。



「ごっ、ごめんなさい!!」



 慌てて手を挙げ距離を取った。

 玉露くんに会えたのは嬉しいけど……っあれ、そういえばなんでこうなってるの?

 頭頂部の辺りがズキズキ痛むことしかわからない。

 混乱する状況を掴もうとキョロキョロするわたしに、玉露くんはため息混じりで答えてくれた。



「苹果ちゃんが気絶しちゃったからここまで連れてきたんだよ」

「気絶? え、てことは助け……」

「助けに行ったけど、部屋に入ったときには全部終わってたから僕は何もできてないよ」



 玉露くんはわたしの手のひらにスマホを乗せた。

 滑り落ちたわたしのもの。画面がひび割れてしまっている。