口に甘いは腹に毒






 誰かの温もりを感じた。



「……ちゃん、りんごちゃん、ねえ」



 まどろみの中……夢か現実かで言えば夢の方だろうか。呼び掛ける声がだんだん近付いてくる。

 だからこれは夢で、明晰夢ってやつだと思うんだ。


 玉露くんに見下ろされて、体がぴったりくっついた状態。

 離れたがってる気がしたから、ダメだよって手繰り寄せる。



「ちょっと……なんで、」



 玉露くんの顔がほんのり赤く染まる。



「っ……怒られるよ。ここ、一応カラオケなんだから」

「離れちゃやだ……」


「~~っ、ね、寝ぼけないで。寝るか起きるかにしてね」

「へっ……!?」



 パシン! と小気味良い音と同時、腕に痛みが走る。

 あまりにも鮮明な痛みだったので、一気に脳が覚醒した。