口に甘いは腹に毒



「苹果ちゃん……っ!」



 幻覚かな。玉露くんが目の前に現れた。

 倒れそうになるわたしを支えてくれる。幻触まで……。

 こういうときに一番会いたい人が出てきてくれるなんて、最高だなぁ。

 

「大好き……玉露くん」



 一方的に抱き付いた。

 簡単に抱き返してくれないところが、幻覚のくせしてリアル志向だ。



「……なんで僕の方来ちゃうの」

「好きって伝えたくて……そうだ、伝えに行かなきゃ……」

「うん……」



 ちゃんと本物に言いに行かないと。

 最後の力を振り絞ろうとしたわたしを、幻覚は強く閉じ込める。

 無理だよ。そうやってされたら、気が緩んじゃう……。



「……伝わったよ」



 嘘だとわかってても抱き合えたことが嬉しい。

 幸せに包まれて──暗転。