口に甘いは腹に毒


 一階は見つからなかった。

 階段を上がる。


 タン、タン。一段上る度に響く足音。

 自分で体を動かしてる感覚がしないくらい、ドキドキしてる。



「っあ……ご、ごめんなさい」

「いや、こっちこそ……」



 上り切るときに、下りようと曲がってきた人とすれ違った。

 お互い同じ方向に避けようとしちゃった。

 相手が止まってくれたから進めたけど、申し訳ない。


 無事にすれ違えてから、二階のフロアに一歩踏み出したとき──。



「あ、」



 ドリンクバーのところに、見慣れた後ろ姿を発見した。

 わたしが間違えるはずがない。柔らかそうなストレートの髪、スラッとした背丈。幾度も目にして追いかけた。


 見つけた……玉露くん。