玉響の花雫    壱

煙草の火を消した筒井さんが
助手席のドアを開けてくれた


ここに乗るっていうことは
泊まるっていうことになる。
でも私も今日はまだ一緒にいたかった‥


車に乗り込むと、一度家に送ってくれ
鞄に着替えなどを詰め込み終えると、
一度玄関まで行った私はもう一度リビングに戻り引き出しを開けた


‥‥‥まだ早いかなとは思うけど、
それを取り出してから筒井さんの元に
向かい車にまた乗せてもらった


『ご飯を食べていこう。
 お前最近食べてなかっただろ?』


ドキッ


だって‥
2人のことを考えすぎて悩んでたら
食欲なんて湧かなかったもん‥‥。


「き、今日は私が奢りますから
 いっぱい食べてください。」


運転する筒井さんにそう答えると、
伸びて来た手に頭をクシャと撫でられる


沢山迷惑をかけてしまったし、
傷つけてしまったからお腹いっぱい
美味しいものを食べて欲しい


そう思っていたのに、食後に
いつのまにかお会計が終わっていて
何度言っても払わせて貰えず、
帰りに寄ってくれたパティスリーでの
チョコレートとケーキ代はなんとか
自分で払うことが出来た。


筒井さんのマンションに着くと、
先に交代でお風呂に入ってから、
珈琲を淹れて買って来たケーキと
チョコレートを食べることにした


『チョコレートばっかりだな?』


ケーキもガトーショコラを選んだ
私を笑っていたけど、いいんだ‥‥
本当にチョコレートが好きだから。


「筒井さんも珈琲飲みます?
 それともお酒の方がいいですか?」


『珈琲でいいよ。ありがとう。』


2人分の豆をミルで丁寧にひいていると
髪を乾かし終えた筒井さんが
キッチンにやってきて私を後ろから
抱き締めたので緊張して手が
止まってしまう


お風呂上がりのいい香りと、
柔らかいセットされてない髪が首を
くすぐると、筒井さんの指が私の
首に付けられていたものにそっと
手を触れてきた


『これ‥‥着けてきたのか?』


「‥これが似合う大人になったら
 着けようって思ってたんですけど、
 やっぱり今日着けたくて‥‥。
 その‥‥ありがとうございます。
 貰った時すごく嬉しかったです。」


細いチェーンに小さなピンクの
石がついたネックレスに触れていた手が
私の珈琲豆を削る手に触れると
首筋に唇が触れ、体がビクッと跳ねる


どうしよう‥‥心臓が煩い‥‥


今日は亮さんたちもいないから、
2人きりのキッチンが静かで
余計に心臓の音が響いている気がする



『‥‥抱いてもいいか?』


ドクン


驚いてミルを落としたのにも関わらず、
もう一度首筋に唇が触れ筒井さんの手が私の腰を抱くと体の向きを変えられてしまった


ドクンドクンと鼓動が早くなり
上を見上げることが出来ないでいると、
筒井さんの指が私の顎に添えられ、
上を向かされてしまった。